ご葬儀が終わり,初七日が過ぎると,ようやく一段落です。
ここから,法的な相続手続となります。……というよりも,それまではドタバタして,手続どころではないのが通常でしょう。又,相続の法的手続きは,初七日が過ぎてからでも,構いません。
さて,相続手続とは言っても,故人が遺言書を残している場合と,そうでない場合とでは,若干(?)手続きが異なります。このページでは,故人が遺言書を残している場合を紹介します。
遺言の執行
遺言書がある場合は,遺言の執行手続となり,遺言書の内容の実現手続となります。遺言書がある場合は,遺言書の内容を無視して遺産分割協議を行うことは,法的に認められません。
遺言執行手続は,故人の残した遺言書が,公正証書による遺言か,それ以外の遺言かによって異なってきます。
遺言書が公正証書ではない場合,その遺言の検認を家庭裁判所に申立て,検認手続を経なければなりません。
(1) 戸籍謄本等の取得
遺言の検認の申立てには,法定相続人全員を確定するために必要となる戸籍謄本等を添付しなければなりません。そのため,必要戸籍の取得を行います。
なお,法定相続人と法定相続分についてはこちら。
≫「法定相続人と法定相続分」
(2) 財産調査
遺言の検認申立てには直接必要ではありませんが,後の遺言執行のため,遺言者の財産調査をしておきましょう。遺言書には書いてあるけど,実際には無かったり,逆に,遺言書に書いてない財産があったり,というのは良くあります。
主に,次のようなものの調査を行います。
・現金
・預貯金
・生命保険・健康保険・公的年金・労災保険・雇用保険
→但し,純粋な相続財産ではありません。
・不動産
・株式等有価証券
・借金等の債務
・その他(自動車・ゴルフ会員権等)
(3) 遺言検認の申立て
申立ては,遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人が行います。
次は・・・
2 公正証書遺言の場合
遺言が公正証書により作成されている場合は,1のような遺言検認手続は不要で,そのまま遺言執行手続に踏み切れます。もっとも,公正証書遺言であっても,遺言執行手続上,相続関係が分る戸籍謄本等は必要となりますので,戸籍の収集は必須です。
又,遺言書に書いてある財産が無かったり,遺言書に書いてない財産があったり,というのはあり得るので,財産調査は行わなければなりません。
3 遺言に書いていない財産の処理
公正証書遺言でも,そうでない遺言でも,財産調査をすると,遺言に書かれていない財産が発見されることがあります。遺言に係れていない財産は,通常の相続財産となり,遺産整理手続によることとなります。
→ 遺言書はない ※リンク「遺言書がない場合」
次は・・・